我に返ったら負け

ラグビーのテレビ中継を見ていると、しばしば観客席に派手な人々を見かけます。
額や頬、ことによっては顔全体にペインティングを施している人。
どこで入手したのか、カラフルなアフロヘアーのカツラをかぶっている人。それとも地毛なんでしょうか。

テレビで見ていても、派手な観客がアップになることは多い気がします。
しかし、特段そういうメイクやファッションをしていない、普段着かつ普段顔の観客もアップで映ったりします。

そりゃそうですよね。
派手な観客ばかり映していると、チカチカして視聴者の目に悪いですからね。1テレビを見るときは部屋を明るくして離れて見てね!
ですから、どれだけカラフルなメイクをしようが、攻撃的なほどビビッドな柄の服を着ようが、カメラ運が悪ければ一瞬たりともテレビに映らない可能性もあるわけです。

さて、あの観客の方々の中には、
「自分がテレビに映ったかどうか気になる人」
と、
「全く気にしない人」
がいると思うんですよ。
後者の人はいいとして、前者の人は、テレビに映ったかどうかどうやってチェックしているんでしょうか?

なんでお前はそこが気になるんだよ

例えば、テレビ中継の方を実家の両親が見てくれていて、映った瞬間に「映ったで!あんた有名人やん!」とLINEで教えてくれる、そういう体制が整っているならいいでしょう。
しかし、家族総出でスタジアムに来ている、しかも戦隊ヒーローのごとく全員が浮き足立った原色メイク、という人はどうしたらいいんでしょうか?
やはり、帰宅してからテレビ中継の録画を何時間もかけて見直して、観客席にいる自分にスポットライトが当たったかどうか、確認するのではないでしょうか。
それはあまりにも非効率です。

そこで考えました。
テレビに「顔認識」機能が付いていたらどうでしょうか?

最近のスマホやデジカメでは当たり前になってきていますが、映像から人物の顔を抽出する技術です。
防犯カメラなどでは、あらかじめ特定人物の顔を登録しておき、その人物が映ったら自動検知する、という活用例もあるようです。

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防犯カメラで不審者の顔を識別する、顔認証システムについてご紹介します。中央防犯センターは、防犯カメラや監視カメラの設置工事、取り付け施工を行なっております。

これをテレビに応用するんです。
つまり、テレビに顔写真を送信すると、録画した番組からその人物が映っている場面を自動で探し出し、ダイジェストみたいに抜き出してくれる!
なんて便利なんでしょうか。

この機能が付いていれば、帰宅後に録画を再生し、自分の姿を血眼になって探す必要はもはやありません。
帰宅してから自分の顔を撮り、それをテレビに送って、後はテレビさんにお任せ!
やったぜ、先端技術万歳!
ヘイシリ!オッケーグーグル!アレクサ醤油取って!

 

…あれ?
よく考えたら、俺、観客席ではこれでもかとフェイスペインティングしていたよな…
でも、家帰る前にペイント全部落としちゃったんだよな…
そんでもって、今撮った素の顔をテレビに探させてるわけだが…

うわっ、これじゃ見つからない!

アレクサに醤油を取らせるな

盲点でした。
「テレビに映っているかもしれない、映っていたら嬉しいなの顔」「今の顔」が異なるという罠がありました。
これを回避するためには、以下のいずれかを実施しなければなりません。

  1. フェイスペインティングした状態の自撮りを確保しておく
  2. 帰宅するまでフェイスペインティングを保持しておく

1.については、フェイスペインティングなんて日頃やらないことをやってるわけですから、記念とばかりに自撮りする人もいるでしょう。
しかし、いよいよ世界レベルの試合が見られるとあっては、気持ちが高ぶって自撮りどころではないかもしれません。
それこそ我を忘れて試合に熱中し、試合後も体温と心拍数が振り切れたままの高揚感で、ペイントを落とすのも忘れて電車に乗り…

あ、だったら2.のパターンですから、問題ないじゃないですか。
なんと。

以上により、テレビ中継に映った自分の顔を顔認識で探せるのは、

  • ペイントした自分の顔を自撮りしておくぐらいの余裕がある人
  • 試合前から帰宅まで常にハイテンションな人

の、いずれかであることが明らかになりました。

最も危ないのは、試合前から試合終了までは浮かれていたのに、スタジアムを出た途端に冷めてしまう人です。
このタイプの人は、ペイント状態の顔写真も残さず、しかも生身もすっぴんに戻してしまうわけですから、顔認証のサンプルとしてテレビに差し出せるものが一切ありません。
よって、せっかくの顔認証機能も生かせず、試合を最初から最後まで再生し、目を皿のようにして自分を探す夜を過ごすことになるのです。

やはり、いついかなる時でも、感情の浮き沈みをコントロールできるようになりたいものですね。

結局最後まで観客の話かよ

そうですけど、何か?