床屋さんに貼ってあるポスターを心配する日記

裏タイトル

リーゼントが泣いている

こんにちは、フクイチです。


この年末年始、実家に帰省していました。
兵庫県明石市です。

実家に着いて荷物を下ろし、数年ぶりに小学校、中学校への道のりを散歩してみました。

 

毎日のように通っていた踏切。

 

小さいながらに参道が設けられた社。

懐かしい光景を写真に収めながら歩いていると、看板から扉まで、あらゆるものが20世紀で出来ていそうな建物がありました。

 

「BAR BERSHOP カツミ」さんです。看板の通りに半角スペースを入れました。

実家の近くに別の床屋さんがあるので、実はここに入ったことは一度もありません。
この日も、私は先週美容院に行ったばかりで、眉毛も鼻毛も足の親指の毛も整っていたので、床屋さんには用事は無いです。

ですが、これには用事があります。

 

景色の映り込みがあって恐縮ですが、このポスターが本日の主役です。

 


この空間だけタイム風呂敷に包まれていたかのように、時代を感じる髪型と服装の男女が仲むつまじく、というより密着して写っています。
二人とも、確実にアルコールだと断言できるグラスを持っています。このたたずまいでどっちかが下戸ってことはないでしょう。
男性は女性を見ているのに女性はグラスを見ている、視線のすれ違いも見どころです。

そして注目したいのは、右側に書かれているセリフですね。

 

きのうより素敵。

これ、男性と女性のどちらが発した言葉なのか、わからないところがいいですね。
見る人が自由に解釈するチャンスがあるので、各自思い思いのストーリーをふくらませることができるんです。
もしこれに、

 

こんなフキダシついてたらどうします?表現がストレート過ぎて呆れませんか?

それじゃマンガだろ

ですから、「きのうより素敵。」はこの男女間の会話ともとれるし、来店したお客さんへのメッセージと考えてもいいんです。
お客さんは、ポスターを見て「きっと昨日より素敵な自分になれる!」と、希望をもって散髪に臨めるわけですね。

 

…ん?

本当にそうか?

 

自分で書いててちょっと怪しくなってきました。
冷静に、この床屋さんに行く少年A君がいたとして、どういう段階を踏むか考えてみましょう。

  1. A君は髪が伸びてきた。
  2. A君は髪を切りたくなった。
  3. A君はいつもの床屋さん「カツミ」を予約した。
  4. 予約の前日、A君は初めてカチューシャを付けてみた。似合わなくてやめた。
  5. 予約の当日、A君は床屋さんに向かった。
  6. A君は床屋さんに入る前に「きのうより素敵。」のポスターを見た。
  7. A君は床屋さんに入った。
  8. A君は髪を切ってもらった。
  9. A君は床屋さんを出て家に帰った。
  10. 帰宅後、A君は改めてカチューシャを付けてみた。やっぱり似合わなくてやめた。

以上、やや細かすぎる気もしますが、A君がさっぱりするまでの過程を分解してみました。

なんでカチューシャ試そうと思ったんだ

ここで重要なのは、A君がポスターを見るのは髪を切る前だということです。
つまり、髪が伸び放題の状態で「きのうより素敵。」というメッセージを受け取るのです。

「え?今の僕って昨日より素敵なの!?」

と、髪も切ってないのに勘違いを起こさせはしないでしょうか?
本当は「髪を切って昨日より素敵になってね☆」という趣旨のはずです。
にもかかわらず、ポスターを見せるタイミングが早すぎて、A君は自らのルックスを過信してしまうおそれがあります。

今が昨日より素敵な僕だと勘違いしたA君は、もし散髪したら素敵がリセットされやしないかと心配になることでしょう。
もしかすると、素敵の喪失を恐れて家へと引き返すかもしれません。

A君を引き止めるには、ポスターのセリフに手を加える必要がありそうです。
散髪して素敵になるんだから、
「きのうより素敵。」
じゃなくて、例えば
「きっと素敵になれる。」
というセリフならどうでしょうか?
髪が伸びすぎて眉毛ともみあげが合体してしまったA君も、ポスターに励まされて「やった!どれが眉毛なのか区別がつく顔になれるぞ!」とウキウキするのは確実です。

ただそうすると、ポスターに写る男女間のセリフとしては不自然になってしまいますね。
男女どちらが言ってるのかはわかりませんが、「きっと素敵になれる」だったら「今はイケてないってことかよ」との返しはまぬがれません。
次の瞬間、グラスのワインを顔にぶちまけられるのは目に見えています。

じゃあどうすれば…

 

…はっ!!

重要なことを忘れていました。
男性は女性を見ていますが、女性が注目しているのはグラスです。
ならば、

 

このセリフは女性のものだということにして、「きのうより素敵」なのは男性の髪型ではなくワインの味を指しているのだ!と解釈させましょう。

実はこの女性は著名なワインコレクターであり、自前のワインセラーからその日の気分や天候に合うワインを毎日チョイスしている。
そして、今日は昨日に比べて絶妙な選択ができたので、「きのうより素敵」なチョイスだと自画自賛しているのです。
男の髪型?どうでもいいわ!

…と、このように女性のキャラを設定すれば、床屋さんの商売とはなんら関係ないセリフになります。
A君も一切興味を示さず入店することでしょう。

床屋さんのポスターとしておかしいだろ

しかしそう考えると、つくづく男性が気の毒なポスターですね。

 

裏タイトル

リーゼントが泣いている

最後までお読み頂き、ありがとうございました。