カステラ1番 電話は110番

先月のことですが、美容室に行きました。
美容師さんとの会話が苦手な人間であることを見透かされているんでしょう、カットの前にいつも雑誌を渡されます。ありがたいことです。
その日渡されたのは、こんな雑誌でした。

最新号『エル・グルメ』の第一特集は、「ずるいおやつ」!
『エル・グルメ』の最新号をイメージした、スケッチモーション動画をチェック!

おしゃれなグルメ雑誌「エル・グルメ」です。渡されたその号は「おやつ特集」でした。
まさか、私が黄色い誘惑にほだされる人間であることもお見通しなんでしょうか。恐るべき透視能力です。

で、普段そういう雑誌を読まないので、どんなものかとパラパラめくっていたら、こんな見出しがありました。

ギルトフリーなのに大満足なんて♡

え?ギルトフリー?何それ?
フリーって「アルコールフリー」とかのフリーか?
じゃあ「ギルト」って?

聞き慣れない言葉に私は意識を奪われ、その後美容師さんに何を話しかけられても「あ、はい」としか返答できなくなりました。

いつもと同じだろ

美容室を出て、いざギルトフリーとは何なのか?さっそくスマホで検索です。
偉大なるインターネットは、すぐに答を授けてくれました。

ギルトフリーとは? その意味を知って“食べること”への意識を変えよう
ギルトフリーとは?その意味を知って“食べること”への意識を変えよう

各種サイトによると、ギルトとは「罪」あるいは「罪悪感」のことであり、ギルトフリーとは「罪悪感を感じずに食の欲求を満たす」食品だそうです。
検索すると2017年頃の記事が多数ヒットするので、おそらくそれぐらいから登場した言葉なんでしょうが、私はエル・グルメで初めて知りました。
ありがとうエル。
つまり、ギルトフリーのスイーツというのは「カロリーが控えめだから、ダイエット中でも安心して食べられるよ♡」ということですね。

いや待て、納得している場合じゃない。
そういうスイーツをギルトフリーと呼ぶならば、いわゆる普通のお菓子はギルトを持っている、すなわち罪を犯していることになります。
もう一度言います。おかしが罪をおかしていることになります。

どうしましょう、これは大変なことがわかってしまいました。
ケーキ屋さんのショーケースなんて、罪人を見せしめにしているようなものじゃないですか。

罪人だとわかっていて、野放しにするわけにはいきません。
どんな罪を犯したのか、火急に調査しなければ!
そう!

お菓子が犯した罪を暴こう

これが本日の使命です!

お菓子に何の恨みがあるんだ

まず、比較対象として、いわゆるギルトフリーのお菓子を手に入れましょう。
やって来たのは、ヘルシーな食品の店と問われれば10人中11人が真っ先に挙げる「ナチュラルローソン」です。

こちら、ナチュラルローソンの渋谷一丁目店です。
渋谷といえば、人が多くてゴチャゴチャしているイメージがありますが、いや実際そうなんですが、この店舗のまわりは比較的静かで、緑も多いところでした。
さすが、立地からしてナチュラルです。

そして、ここで購入したのがこちら。


ダイエット中のおやつに なかったコトに!

見て下さいよ、このストレートなパッケージを。
「都合のいいチョコ」「自分に甘いごほうび」と、ギルトフリーの崇拝者が今にも飛びつきそうではないですか。

いったいどんな魔法がかかったチョコなのか気になりますが、今はカロリーを見てみましょう。
お菓子のパッケージには、必ず「栄養成分表示」があります。

なかちゃん(なかったコトに!の愛称)の栄養成分表示を見ると、エネルギーは50gあたり225kcal。10g単位に換算すると45kcalです。
お菓子によって内容量は異なるため、これ以降も10g単位に換算したカロリーで比較していきましょう。

なかちゃん、て

ではいよいよ、罪を背負ったお菓子たちの登場です。
ただし、「罪を憎んで菓子を憎まず」という格言もあります。1ありません。
ここで暴きたいのはあくまでも罪そのものであり、犯した当人を吊るし上げて悪評を広めようという意図はありません。

よって、お菓子のプライバシーに配慮し、商品名をダイレクトに記載することは避けます。
また、写真にはモザイクをかけさせて頂くことをご了承下さい。

それでは最初の容疑者です。

ギルトNo.1 T容疑者

チョコレートスナック菓子のT容疑者。
そのカロリーは10gあたり56kcalです。
チョコレートではない部分もあるというのに、先ほどのカロリーをあっさりオーバー。早くも罪の重さを見せつけてくれます。

しかもこのT容疑者、同じく指名手配中のお菓子であるK容疑者と古くから対立しており、自らの味のとりこにした人間の数を競い合うという、不毛な争いを繰り広げています。
その規模はすさまじく、両者の支持層をも巻き込んで、俗に「KのこTけのこ戦争」と呼ばれる近代史上最大の抗争にまで発展しています。
一日も早く両名ともに逮捕され、平和が訪れることを願ってやみません。

ギルトNo.2 P容疑者

棒状のチョコレートスナックであるP容疑者。
カロリーは10gあたり51kcalです。
お菓子界でもトップクラスのスレンダーな見た目とは裏腹に、なんという罪を蓄えているのでしょうか。

さらにこのP容疑者、人々にカロリーを蔓延させているだけではありません。
自らの姿になぞらえて「11月11日はPッキーの日」などと喧伝し、「Pッキーゲーム」なる教育上よろしくない遊戯で大衆をあおり、多数の非リア充を嫉妬の渦に飲み込んだ疑いも持たれています。
享楽というオブラートにくるんだ地獄でこの世を覆いつくそうとしている、なんとも悪質な容疑者です。

ギルトNo.3 K容疑者

またもチョコレートスナック菓子、K容疑者です。
前二者と異なり、この容疑者は外見上チョコレートが見えないため、それほど重い罪があるようには見えません。
にもかかわらず、その笑顔の裏に10gあたり53kcalの罪を隠し持つ!
狡猾な立ち振る舞いに背筋が凍ります。

しかし、皆さんご安心下さい。
長きにわたる懸命な捜査の結果、このK容疑者が先日逮捕されたとの情報を得ました。
捜査当局が公開した、容疑者の写真がこちらです。

当局の指導により素顔は出せませんが、まぎれもなく罪を抱えし者であることは、衆目の一致するところでしょう。
その手に持っている物は何ですか。
カロリーの象徴、ソフトクリームではないですか。
罪の上に罪を重ねる見上げた根性、それを軸がブレてないと呼べば聞こえはいいですが、反省の色は全く見えません。
これほどふてぶてしい有袋類に、更生の余地はあるんでしょうか?

有袋類って言っちゃってるよ

あ、これを言っておかなければ。
ギルトの有無にかかわらず、全てのお菓子はおいしく頂きました。