これ、食べ物だよね?
食べ物がこんなにネガティブな名前でいいの?
そんな疑問と戸惑いを、皆さんと共有させて下さい。
絶望スパゲティ
商品化に際して誰か反対する人はいなかったのかと思うくらい、ショッキングな名前のスパゲティです。
しかし、名前の由来はパッケージにちゃんと書いてありました。
なるほど、だから「絶望スパゲティ」なんですね。
名前をつけたのがスパゲティを作ったシェフなのか、スパゲティを食べた貴婦人なのかはわかりませんが、いいセンスを持ってますね。
料理の素材ではなく、食べる側のシチュエーションに着目して料理名をつけるとは度肝を抜く発想です。
きっとこのスパゲティなら、3か月間エアコンからの水漏れが止まらなくて絶望している時でもおいしく食べられるでしょう。
それは業者呼べよ
そういうスパゲティですから、やはり絶望している時にこそ食べたいではないですか。
まかり間違って、気分も調子も絶好調、今日も元気にハッピー!な時に食べてしまったら、
「ああ、俺は今希望に満ちあふれているのに、あろうことか絶望スパゲティを口にしてしまった!
絶望のどん底で食べたかったのに今食べるだなんて、なんてもったいないことをしたんだ!
願い事をなんでも叶えてくれるランプの精にシャンプーの詰め替えをお願いするようなものじゃないか!」
と、絶望してしまうでしょう。
いや、別にいいだろ
では、絶望スパゲティを、まさに絶望している時に食べるにはどうすればいいでしょうか?
思いつくのは次の2つです。
1.絶望している最中に絶望スパゲティを買う
寒くなったら厚着する。シャワーを浴びたら髪を乾かす。カロリーが気になったら黒烏龍茶を飲む。
それらと同じと言ってもいい常識的な行為です。
ただ、絶望したときに都合よく、絶望スパゲティを売っているスーパーが現れるとは限りません。
特に旅先のホテルなどで絶望が発生した場合、土地勘の無い中で絶望スパゲティを探し回っていたら、なかなか見つからなくて余計に絶望が深まってしまうでしょう。
よって、こちらの方が良さそうです。
2.いつか絶望したときに備えて絶望スパゲティを買っておく
台風接近のニュースが流れると、災害対策グッズを求める人がホームセンターに殺到し、光の速さで売り切れてしまう。特に今年はそんな光景が多く見られました。普段から備えていれば、もっと余裕をもった行動ができたはずです。
それと同じように、いつ勃発するかわからない絶望に備えて平時からスパゲティを買っておくことは、まさしく先見の明にあふれた模範的な行為です。
しかしこのスパゲティ、幸か不幸か、賞味期限が約一年間もあります。
備蓄目的としてはたいへん優れた食品ですが、その安心感から戸棚の奥深くにしまいこみ、買ったことすら忘れてしまうかもしれません。
そしていざ何かに絶望した時には、悲しみにくれて戸棚のことなど脳をかすりもせず、数か月後やっとその絶望から這い上がったタイミングで戸棚を整理していたら、賞味期限切れになった絶望スパゲティがこんにちは。
なんてもったいないことを、とまた絶望してしまうわけです。
さっきからメンタルが豆腐すぎるだろ
では、ちょうど絶望した時に、絶望スパゲティの存在を思い出せるようにするには、どうすればいいでしょうか?
戸棚の奥に追いやってしまうから忘れるんです。
絶望が起こりそうな場所をあらかじめ想定して、そこに収納しておくのはどうでしょう。
誰にでも起こりうる絶望といえば、やはり「朝寝坊」ですね。
至近距離でキリンと見つめ合う夢にうなされながら目覚めた会社員、幾重にも折り重なるように乱れた布団、本当にお前鳴ったのかと疑いたくなる目覚まし時計、その時刻を見れば出社時間ギリギリ!
まずい!今日は朝一で打ち合わせがあるのに!
このまま俺が打ち合わせに現れなかったら、好都合とばかりに以前から噂になっている「あいつは仕事中にぷよぷよのプレイ動画ばかり見てる疑惑」について本格的に議論が始まってしまい、やっと出社した時にはみんなが俺に冷たい視線を向け、違うんだ俺が見ていたのはテトリスの動画なんだと弁明するチャンスも与えられず、社内で孤立してコピー機すら使えなくなってしまう!もう昇進は絶望的だ!
そのままクビになっちまえ
とにかく急がなければ!と勢いよく飛び起きたせいで、敷布団を蹴っ飛ばして派手にめくってしまった!
すると!
そこには有事に備えて布団の間に仕込んでおいた絶望スパゲティが!
そうだ、俺にはこれがあったんだ!
どんなに遅刻しそうで絶望していても、このスパゲティだけは裏切らない!
かくして勇気と平常心を取り戻した彼は、余裕の表情でパスタを3分間ゆで始め、鼻歌を歌いながら絶望スパゲティのおいしさに思いをはせるのです。
いや、遅刻しそうなんでしょ?
そして食べ終わったとき、彼は気づくのです。
絶望している時でも美味しく食べられるスパゲティだが、食べたからといって絶望が希望に変わるわけではないことに。
この記事のタイトルは「備えあるところに憂いあり」です。思い出しましたか?
このタイトルをつけた過程を、以下の記事にまとめました。
普段、一秒が一億円の日記タイトルをつける際のこだわりを語っています。こちらも読んでもらえると嬉しいです。