運勢は水物

東京は変わりゆく街、とよく形容されますが、私の実家(兵庫県)周辺だってどんどん変化しています。
何しろ、神社に新メニューが出ましたからね。

神社はミスドじゃねえ

元旦、実家の最寄りの神社に初詣に行きました。
お参りを済ませた後、神社側の作為を感じる動線に従い、自然な流れでおみくじを引こうとしたわけです。
それでこんな貼り紙見たら驚くでしょ。

「水みくじ 200円」

本当に、これしか書いてない貼り紙があったんです。
水みくじ。初めて聞きました。
今まで、この神社には100円のごく普通のおみくじしか無かったのに、突如として新メニューを投入してきたわけです。
このような、ろくに説明がない未知のワードというのは、私の好奇心を最も刺激するんです。おのれ謀ったな。

200円で購入しました、水みくじ。
すると、紙の束を渡され、一枚引くように言われました。
引いた紙がこれです。

不良品ではありません。
巫女さんが言うには、これを水に浸けると運勢が浮かび上がるとのこと。
はて、水なんてどこにあるのかしら、と境内を見回してみると、ありました。

水です。酒ではありません。
確かに、このサイズの容器となると酒樽が手っ取り早いんでしょうけど。

そして、この水に浸けた結果がこちらです。

…なんだか、ひと手間挟んだ割には、あっさりした結果しか書いてない気がするのは何故でしょう。
しかも紙が濡れてしまうため、普通のおみくじと比べて、持って帰るのにも不便です。

何より気になるのは、普通のおみくじが一回100円なのに対し、水みくじは200円!
この100円の差額は何が根拠なのか?

はい、今日はこの「差額の理由」について考えます。

正月から面倒な奴め

まず考えたのは、「良い運勢が出る確率が高い」説です。
例えば、普通のおみくじは20%の確率で大吉が出るけど、水みくじは30%で出る、とか。
普通のおみくじには3%の大凶が含まれているけど、水みくじにはそもそも大凶が無い、とか。
その差額が100円なのではないでしょうか?

…と考えてはみましたが、これは「おみくじ」というものの趣旨に反している気がします。
いいですか、おみくじとは厳粛げんしゅくなものなんです。
今年一年ことしいちねん運勢うんせいについて、おそおおくも神様かみさまから御審判ごしんぱんたまわり、人生じんせい指針ししんとさせていただくものなんです。
その神様かみさまから宣告せんこくされる運勢うんせいが、わずか100えんわってしまうとなれば、なんとチョロい神様かみさまなんでしょうか。
神様かみさまがそんな俗物ぞくぶつのはずがありませんから、このせつ却下きゃっかです。
つぎ

お前ほんとに厳粛だと思ってるのか

次に考えたのは、「情報量が違う」説です。
この水みくじには「願望」「失物」など、10項目の運勢が記載されています。
つまり、通常(100円)のおみくじだったらもっと項目が少なくなる、ということではないでしょうか?

この仮説を検証するため、翌日に同じ神社に行き、100円の方のおみくじも引いてみました。
それがこれです。

こっちの方が情報量多い

どないなっとんねん!
通常版は、水みくじ版の項目のほとんど1なぜか「方向」だけ無いですが。をカバーし、さらに短歌、総評に加え、「相場」「争事」などのオプションまでついた豪華仕様です。
しかも相場に至っては「上がる 買え」と力強く断言。だったらどの銘柄か教えてもらえませんかね。

ともあれ、これで明らかになったのは、水みくじの100円差は情報量の値段では無い。
というか、情報量では明らかに通常版に負けてるわけですから、それをも凌駕するメリットが水みくじにはある!と、神社側は自負しているわけです。
強気の姿勢を崩さない神社ですが、買う側としては意図が見えません。

あのさ、一人でおみくじ二本も引いちゃっていいの?

今のところいいとこ無しの水みくじ。
唯一残されたメリットは、「水に浸けて、文字が浮かび上がる過程を楽しめる」ということです。
もはや、そのアミューズメント性につけられた値段が100円だ、と考えるしかありません。

ただ、こういう楽しみ方って、こども科学館の体験コーナーに似てますよね。
併設されているパネルで、でんじろう先生あたりが「こんな仕組みで文字が出てくるんだよ!」とわかりやすく説明してくれる、あの感じです。
(勝手なイメージで言ってます。実際にでんじろう先生が出てくるパネルがあるかどうかはわかりません。)

ならば、この神社もそれに倣って、樽の脇ぐらいに「文字が浮かび上がる仕組み」の説明パネルを設置するのはどうでしょうか?
初詣にはご家族揃って来る人も多いですから、年明けからお子さんの勉強にもなりますよ。

というか、私も興味あります。
これ、なんで水に漬けると文字が出てくるの?

今さらかよ、その疑問

そしてそれを説明してくれるキャラクターは、でんじろう先生ではありません。
おみくじにちなんで、「大吉先生」の通り名でおなじみ、博多大吉を起用すべきでしょう。

そして後日、有吉反省会に博多大吉が出演した時にそのパネルが紹介され、「ボク、科学から一番遠い世界に身を置いてるんですけど…」と戸惑いのコメントを残す大吉先生、というシーンまで瞬時にイメージできました。

さあ、それでは最初の反省にまいりましょう。