下弦の調べ

自宅に届いた、この荷物は何でしょう。
開けなければ始まりません。開封します。

 

ご覧下さい。オレオの密航です。
堕落した独裁者に重税を課されて貧困のどん底に叩き落され、生きていく場所を求めて涙ながらに祖国を離れたオレオが8箱、私の家に漂着しました。
さぞかし、つらく苦しい旅路であったことでしょう。
おいしく頂きます。

それにしても、中央に見える物体は何でしょうか?

お待たせしました。
こちらが本日の主役、「OREO MUSIC BOX」です。

「オレオ ミュージックボックス」は、おやつの時間をより楽しんでいただくために「オレオ」が開発したミュージックプレーヤーです。
レコードのようにターンテーブルの上にオレオクッキーをのせてアームを合わせるだけで音楽を楽しむことができ、少し食べてから再度アームをセットすると異なる曲を楽しむことができます。
Amazonの商品紹介より抜粋)

と、このように、オレオをレコードとみなして楽しめるおもちゃです。

なんで作ったの?

いや、それを私に聞かれても。

なんで買ったの?

いや、それを私に聞かれても。

それは答えられるだろ

ちなみに、OREO MUSIC BOXを取り出すと、

なんと、その下にもうひと箱、OREOが隠されていました。
しかも「ゴールデンオレオ」という、SSR感あふれる逸品です。
まるで隠し財宝を見つけたかのようなこの愉悦は、買った人にしか味わえません。
おいしく頂きます。

それではさっそく、OREOをターンテーブルに乗せてみましょう。
今回は、最もオーソドックスな、黒いバニラクリームのオレオを使用します。
本来であれば、先ほどのゴールデンオレオを使いたいところですが、それは買った私だけのお楽しみとさせて頂きます。
どうだ羨ましいだろ。

別に

では、お聴きください。

けっこうノリのいい曲が流れました。
音質はまごうことなきドン・キホーテですが、オレオがレコードのように回る様は見ていて楽しいものです。
きっと、祖国の圧政と重税から逃れた嬉しさを表現している歌なんでしょう。
おいしく頂きます。

さて、これでは終わりません。
先ほどの商品説明を信じるならば、少し食べたオレオを乗せると異なる曲が流れるそうではないですか。
試さないわけにはいきません。

いきません、が。
食べません。

なんでだよ

だって、考えてもみて下さいよ。
この私がオレオをかじって、それを乗せるんですよね?
そして、その様子を動画でインターネットに公開するんですよね?

そんなことをしたら、私の歯型が丸わかりではないですか。
個人情報の漏洩以外の何物でもありません。
もし将来、私が路上でストロングゼロを飲み倒して酔い潰れ、シメの代わりとばかりに区役所の掲示板に貼ってある火災防止ポスターを食い破るという事案が発生したとして、そのポスターの歯型とオレオの歯型を照合されでもしたら、直ちにフクイチの仕業だと特定されてしまいます。

よって自衛のため、オレオを包丁で切ります。

この通り、きれいに真っ二つです。
ちなみに、包丁を握ったのはおよそ一年ぶりです。

人生を見直せ

では、半月状になったオレオで、もう一度再生しましょう。

確かに曲が変わりました。なんだか穏やかになっています。
切ってない方の曲をアニメのオープニングだとすれば、こちらはエンディングでしょうか。
亡命に成功した安心感もつかの間、見知らぬ人間の家で一刀両断されたはかなさを歌っているのかもしれません。

オレオに感情移入しすぎだろ

では私、オレオ8箱を頑張って消費します。